カジノの税金、客や金の動きを正確に捕捉する必要

日本でカジノが導入された場合、税務当局による課税はどうなるのか。議論は始まったばかりだが、今の制度だと国籍によって課税対象になるかどうか異なることにも。カジノでは連日多額の金が動くため、マネーロンダリング(資金洗浄)の危険性も指摘されており、客や金の動きを正確に捕捉する必要がある。

国会審議で、国は一般論として、ギャンブルで得た利益は「一時所得」として所得税が課税されるという見解を示している。外国人観光客が日本のカジノで勝った場合は、国籍によって扱いが異なることになるかもしれない。

日本は123カ国・地域(今年3月現在)に適用される租税条約を結んでいる。

国税庁によると、欧米や韓国、経済協力開発機構(OECD)加盟国をはじめとする多くの国々との条約では、カジノで手にした利益について、「居住地国課税」としている。このため日本の税務当局は課税できず、それぞれの居住地国でのみ課税されることになる。

一方、中国やインド、シンガポールなどとの租税条約は「源泉地国課税」を認めている。同じアジアから来日してカジノで遊んだ観光客でも、中国人やインド人は日本の所得税が課され、韓国人は課税されない、といったケースが想定される。租税条約を結んでいない国の観光客は、日本人と同様に、日本の所得税の課税対象として扱われる見通しだという。

海外のカジノではどうなっているのか。財務省によると、米国では、米国人も外国人も原則として米国の所得税の課税対象だが、租税条約によって扱いが変わる。

シンガポールとマカオは外国人も含めて非課税になっているという。

日本にカジノができた場合、外国人観光客の所得の把握方法や納税方法、国籍で扱いに差をつけるか否かなど、課題が多い。

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